アンティークコインの基礎

コイン鑑定会社① NGC

前回記事「コインのグレーディング」では二大鑑定会社としてNGCとPCGSがあることをご紹介しました。

今回はそのうちNGCについてもう少し詳しく解説していきます。



1)NGCスラブ表記の解説

NGCのホームページ上にはスラブ表記に関する解説ページがあります。


①ストライクタイプ Strike Type

・MS

通常貨(流通貨幣)の中でもグレード60~70のコインに使用される表記です。

・PF

プルーフ貨という特殊な表面加工をしたコレクション用の貨幣に使用される表記です。

・SP

試作貨・試鋳貨に使用される表記です。表面加工は通常とプルーフの両パターンあります。

しかしPCGSでSP表記となるコインであっても、NGCではMS等の表記になるコインもあります。


②グレード Nueric Grades

・MS/PF 70

5倍率で確認しても製造当時のままで欠陥がなく完璧な状態

・MS/PF 69

ほとんど気づかないほどの欠陥、ほぼ完璧な状態

・MS/PF 68

非常にシャープな打ちで、ごくわずかな欠陥しかない状態

・MS/PF 67

シャープな打ちで、少しの欠陥しかない状態

・MS/PF 66

とても打ちがよく、最小限の当たりとヘアラインしかない状態

・MS/PF 65

よい打ちで、少し当たりやヘアラインがある状態

・MS/PF 64

平均的な打ちで、いくつかはっきりとした当たりやヘアラインと僅かな他の欠陥がある状態

・MS/PF 63

平均的又は僅かに弱い打ちで、大小様々な当たりやヘアラインが適度にある状態

・MS/PF 62

平均的または僅かに弱い打ちで、63に比べると摩耗している状態

・MS/PF 61

平均的またはそれより弱い打ちで、より多くの当たりや擦り傷がある状態

・MS/PF 60

平均的またはそれより弱い打ちで、摩耗は少なく、多数の擦り傷、ヘアライン、大きな当たりがある状態

・AU 58

デザインのハイポイントに僅かな摩耗がある状態

・AU 55

デザインの50%未満に摩耗がある状態

・AU 53

デザインの50%以上に摩耗がある状態で、ハイポイントに非常に僅かな擦れがある状態

・AU 50

デザインの50%以上に摩耗がある状態で、ハイポイントに僅かな擦れがある状態

・XF 45

ハイポイントにいくつか摩耗がある状態

・XF 40

ハイポイントは全体的に摩耗がある状態

・VF 35

すべてのハイポイントが摩耗している状態

・VF 30

図柄全体的に適度な摩耗がある状態

・VF 25

図柄全体的に30よりも摩耗がある状態

・VF 20

文字と数字の打ちは適度に残っている状態

・F 15

平地部分にも摩耗があるが、文字や数字は判別できる状態

・F 12

平地部分にも15より摩耗があるが、文字や数字は判別できる状態

・VG 10

全体的に摩耗しており、文字や数字も摩耗している状態

・VG 8

全体的に摩耗しており、文字や数字も10より摩耗している状態

・G 6

周囲の文字や数字は判別でき、リムははっきりしている状態

・G 4

周囲の文字や数字はほぼ判別できるが、リムは摩耗している状態

・AG 3

ほとんどの文字や数字は解読まではできる、リムはコインの面にまで摩耗が達する状態

・FR 2

一部のデザインはかろうじて見れる、リムはほとんど判別できない状態

・PO 1

コインの種類や年号は判別できる、リムはほぼ平らな状態


以上のように、1~4は1刻み、6~12は2刻み、15~50は5刻み、50~60までは2か3刻み、60~70は1刻みです。

つまり、70段階とはいってもそもそも存在しない数字があります。


③+と★ Plus & Star

・+ (Plus Designation)

例えば、64でも65に近いコインには64+をつける。

+を受けるためには、その数字の平均以上の状態、アイアピールを持っている必要がある。

45~68までのコインに+をつけることができるが、40以下と69にはつけられない。

アメリカのコインについては、1792年~現在までのものに+をつけることができる。

その他の国のコインについては、1970年より前のものに+をつけることができる。

・★ (Star Designation)

NGCは商標である★を非常に魅力的なコインにつけることができる。

(NGCの商標というくらいなのでPCGS含め他社では★表記はないということですね。)

アイアピールとは、コインでは最も主観的な属性ですが、誰もが納得する一定の基準もある。

鮮やかでカラフルな色調、強い光沢や、プルーフコインの場合には強いカメオコントラストなどである。

★がつくには、コインに明らかな凹凸やシミや傷のないものに限られる。

トーンの色については、単色でも多色でも構わないが、黒色や強い褐色では★はつけられない。

★がついているからといって、同じグレード(数字)で状態がいいとは限らない。

例えば64★があったとして、コインの状態として64の中でも64+に近い優秀なものでも逆に63近いものであっても★はつく。


④ストライクキャラクター Strike Characters

・RD

赤。製造当時の赤色の光沢があるコイン

・RB

赤茶色。赤色の光沢と茶色が混ざったコイン

・BN

茶色。ほぼ完全な茶色のコイン

上記のRD、RB、BNは、銅貨にしか適用されません。

(黄銅貨や白銅貨であっても記載されません。)


・ULTRA CAMEO

プルーフコインにのみ適用。平地は深い鏡面、デバイスは強いフロストがあり、コントラストは際立っている状態

・CAMEO

プルーフコインにのみ適用。平地は深い鏡面、デバイスはフロストがあり、適度なコントラストがある状態

・DPL

平地は深い鏡面。プルーフコイン以外に適用

・PL

平地は鏡面。プルーフコイン以外に適用


2)NGCスラブの照会方法

①通常の照会方法

NGCの照会は、NGCの照会ページで認証番号+グレード(数字)を入力します。

NGCのスマホアプリのありますので気軽にお手元で照会をすることができます。


【スマホアプリの場合】

(手順1) アプリを開いて「Verify NGC Certification」をタップ。
(手順2) Scan Barcodeを押してスラブのバーコードを読む、又はその下のボックスに認証番号とグレード(数字)を入力してGO

②Detailsコイン、古代コインの照会方法

Detailsコインにはそもそも数字がありません。

また古代コインには数字がないか、5点満点で表示されるStrikeとSurfaceの2種類の数字が表示されている場合があるため、普通の70点満点方式の数字ではありません。

そのため、認証番号 +「NGC Details」か「NGC Ancients」を選択して照会します。


【スマホアプリの場合】

(手順1) アプリを開いて「Verify NGC Certification」をタップ。
(手順2) Scan Barcodeを押してスラブのバーコードを読む、又はその下のボックスに認証番号と「NGC Details」か「NGC Ancients」を選択してGO

以上の手順で表示された情報、写真掲載のあるコインであればその写真と見比べれば本物かどうかの判断ができます。

なお、スマホアプリではなく、通常のWebサイトはNGCのトップ画面にもあります。


 
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サミー
アンティークコイン収集歴はまだ浅く、日々勉強中です。 このブログは自分の備忘録として、そしてアンティークコイン収集をこれから始めようとする方の参考になればと思います。