以前、「PROVA DI STAMPA」というイタリアの1リラ試作貨を紹介しましたが、今回紹介するコインは通常貨です。
1.スペック
- 発行国 イタリア
- 発行年 1912年
- ミント ローマ
- 額面 1リラ
- 重量 5.00g
- 品位 銀83.5%
- 発行枚数 5,865,000枚
- PCGS MS64

2.エマヌエレ3世
ヴットーリオ・エマヌエレ3世は、自身もアンティークコインコレクターだったことで知られています。
そのため、彼が在位していた期間に発行された貨幣はとても秀逸なデザインが多く、エマヌエレ3世のコインを好むコレクターも多いです。
代表的なものとして、今回のデザインでもあるクァドリガがあります。クァドリガは古代に使用された馬4頭立ての戦車のことで、実際の戦争で使用されたり、古代のオリンピック競技などにもなっています。
特にクァドリガの大型5リレ銀貨は人気が高く、オークションなどでもそれなりに高額で落札されています。
3.発行枚数等
1リラ銀貨は、1908年から1913年までと1915年から1917年までの期間でデザインが異なっています。
前期デザインのクァドリガは古代コインのものに近く、後期のものはより現実的な躍動感のある馬体となっています。
それぞれの発行枚数とカタログ価格は以下のとおり。
発行年 | 発行枚数 | MS60価格 | MS63価格 |
1908 | 2,212,000 | 300ドル | 700ドル |
1909 | 3,475,000 | 250ドル | 600ドル |
1910 | 5,525,000 | 50ドル | 200ドル |
1912 | 5,865,000 | 40ドル | 100ドル |
1913 | 16,177,000 | 20ドル | 50ドル |
1915 | 5,229,000 | 50ドル | 120ドル |
1916 | 1,835,000 | 100ドル | 200ドル |
1917 | 9,744,000 | 30ドル | 80ドル |
手元にあるのが3年前のカタログですが、こんな感じです。
一番発行枚数の多い1913年ですが、MS63で50ドルとなっていますが、実際は国内の取引で20,000円くらいかなと思います。
人気のデザインということもあって、全体的にカタログ価格よりは高額で取引されている印象です。
特に1908年、1909年は特年なので他よりはかなり高額となります。
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