10月にワールドコインズジャパンを経由してグレーディング依頼していたコインが戻ってきました。
過去の記事「グレーディング」のものです。
NGCとPCGSの両方にグレーディングに出しましたが、今回戻ってきたのはNGCだけです。
PCGSはもう少し時間かかりそうですね。
いい機会なので、グレーディングに出したことがない人のために記載しておきます。
ただ、スラブ入りのコインについては、現在の流通の主流となっていますが、依然としてスラブ入りを嫌う人たちも多く、ドイツなどのオークションではスラブ入りはほとんど出てきません。
あちらのオークションではスラブ入りをわざわざ割ってからオークションでに出すこともあるくらいで、触れたときの質感や長年いろんな人の手を巡ってきたコインが出す波動のようなものを楽しんでこそのアンティークコインという考えのようです。
波動とかはよくわかりませんが、質感は納得ですね。
また、NGCやPCGSの最も信頼度の高いとされるグレーディング会社でもその鑑定にはバラつきがあり、同じ数字のものでも状態のいいものも悪いものもあったりします。
オークションなどでも同じ数字でも価格に差が出ることがありますが、それは下見をした人がスラブの数字のみに頼らずにコイン自体の状態で判断していることもあります。
鑑定会社の数字は客観的な価値基準ではありますが、あくまでも自分の目でも判断する必要はあるということです。
とはいえ、スラブ入りコインでは一旦いい数字がついてしまえば、ほぼその数字の価値で取引される現状がありますので、自分で出すときは「間違っていい数字がついてくれ!」と願っています笑
1.グレーディング会社
今ではスラブ入りコインが国内オークションでも主流となりました。
鑑定会社の中でもNGCとPCGSの二大鑑定会社が最も信頼度が高く、主流となっていますので、その二社についてのみ解説します。
NGCとPCGSでは共通して1~70までの格付けを行います。
各鑑定会社の表記方法は過去記事の「コイン鑑定会社①NGC」と「コイン鑑定会社②PCGS」にそれぞれ説明があります。
NGCとPCGSで異なる点は以下のようなものがあります。
1)プルーフ貨の表記
NGCでは「PF」ですがPCGSでは「PR」となります。
2)試作貨とメダルの表記
PCGSではこのあたりは一律「SP」表記になります。とはいえ、この「SP」は試作貨とメダルで意味合いが異なるようですが、表記は同じ「SP」です。
NGCでは一部「SP」表記もあるようですが、ほとんど通常通り「MS」や「AU」で表記されます。
3)スター表記
NGCではトーンなどアイアピールの良いコインについて「★」表記を付けますが、PCGSではありません。
4)古代貨
古代貨については現状PCGSでは鑑定不可となっています。
2.グレーディング提出方法
NGCやPCGSに直接依頼することも可能ですが、当然申込書がすべて英語表記ですし、何かあったときの連絡も当然英語となりますし、何よりトラブルがあったときの対処を考えると国内業者に依頼した方が安心です。
NGCやPCGSは法人格を持っていれば比較的簡単に登録できるようで、仲介もできるようになるようです。
国内で外国コインを扱う業者であれば大概グレーディングの仲介を扱っているのはそのためです。
そのため、頻繁にお世話になっているコイン業者があればそこで依頼してもいいと思います。
とは言っても、国内で圧倒的にグレーディング実績が多いのはワールドコインズジャパンです。
私は過去に依頼したグレーディングはほとんどワールドコインズジャパンを経由して行っていますので、ワールドコインズジャパンへの依頼方法を紹介します。(ここで紹介しなくてもワールドコインズジャパンのホームページを見れば解決するとは思いますが・・・)
ワールドコインズジャパンのグレーディングのページを見ていくと、申込書ダウンロードと書かれたところがあります。
そこに申込書(PDF)や記載例が載っています。
- ①NGC(コイン)申込書
- ②NGC-ANCIENT申込書
- ③PMG(紙幣)申込書
- ④PCGS(コイン)申込書
- ⑤PCGS Banknote(紙幣)申込書
NGCでは古代貨は「NGC-ANCIENT」の申込書に分かれています。
洗浄(NCS・Restoration)などを併せて依頼する場合は下の方の枠に依頼する番号を記載すればオッケーです。
現状NGCでもPCGSでもモダンコインに関しては指紋やクスミでも減点になる傾向があるようですので、洗浄した方が数字があがると思っています。
自分で洗浄をすると細かい傷がついて数字がつかなくなる場合がありますので、依頼をした方がいいと思います。
なお、この申込書はPDFファイルですが、PCでもそのまま打ち込める様式になっているので直接文字を打ち込んでもいいですし、一度印刷して手書きで書いてもオッケーです。
依頼するコインに関する記載は、コインが特定できるようにします。
発行国、年号、額面くらいは少なくとも記載し、カタログを持っている人であればカタログ番号を記載してあげるとワールドコインズジャパンでも探しやすいので親切です。
申告価格によって保険料が変わりますが、基本的には入手した価格を記載します。グレーディング費用を安くしたいからと申告価格を低くした場合、万が一紛失などしてもその保険料しか戻ってきません。
また、私の勝手な妄想ですが、申告価格を高めに記載した方が数字が高くなりやすいのでは?と思っているところがあるので、私の場合は購入価格または少しそれより高く申告します。
申込書が完成したら直接店舗に持ち込んでもいいですし、配送でも構いません。
配送の場合は当然記録ありの手渡しの方法で送った方がいいですし、できる限り保障もつけた方がいいです。
店頭持ち込みや催事などの際に申し込む場合は、コインだけ持っていってもその場で申込用紙をくれますので、そこで記載してもオッケーです。
3.戻ってきたコインの結果が納得いかない場合
実際期待していた結果と異なることは当然あります。その結果を受け入れてもいいですし、諦めずに再チャレンジしてもいいと思います。
1)結果に納得いかなかった場合
選択肢としてはいくつかあります。
①クロスオーバー
クロスオーバーは、NGCのスラブ入りをPCGSへ、PCGSのスラブ入りをNGCへそのまま出すことです。
その他の鑑定会社のものでもクロスオーバーを受け付けてもらったこともありますが、基本的には無謀です。(NGC・PCGS以外の鑑定会社は基本的にNGC・PCGSより格付けが甘いと言われているので、クロスオーバーが成功することはほとんどないと思います。)
実際NGC・PCGS間のクロスオーバーについても、成功率はかなり低いです。
過去に何度かクロスオーバーに出したことがありますが、私自身は一度も数字が上がったことがありません。
他の人の成功事例も見たこともありますが、数字が上がる確率は1割以下、仮に上がっても一段階まで(2上がったという事例も見たことがありますが、それは本当に稀だと思います。)
ちなみに、現状クロスオーバーは数字を指定して依頼できます(例えばNGCのMS62のコインならPCGSにMS62以上なら入れ替えすると指定)が、NGCでは1つ上の数字でも指定(PCGSのMS62をNGCにMS63以上なら入れ替えと指定)できるようですが、PCGSでは同じ数字までしか指定できないようです。
②リグレーディング
クロスオーバーと違って、同じ鑑定会社にスラブ入りのまま再度グレーディングに出す方法です。
こちらも成功率はかなり低いです。自分たちの過去のグレーディングを否定するわけですから当然といえば当然ですよね。
ただし、例えば「MS65PL」だったものが解釈が変わって「PF65」とかにはなったりしますので、そんなときはいいかもしれません。
③スラブを割って再度グレーディング
要するに一度裸の状態に戻してグレーディングに出します。
同じ鑑定会社でもいいですし、もう一方に出しても構いません。
一度スラブに入って数字がついてしまうとクロスオーバーにしてもリグレーディングにしても上がりにくいので、もっと数字は上のはずだと自信がある場合は割って再度グレーディングに出す方がいいかもしれません。
ただし、スラブを割って出すということは、その数字すらも保障されませんので、下がることもありますし、数字がつかなくなる危険性もありますのでご注意ください。
私が過去にチャレンジしたものにこんなものがあります。
- ①ICGのMS63
- ②PCGSにクロスオーバー → 失敗
- ③スラブを割ってPCGS → AU55
- ④スラブを割ってNGC → MS60
ICGは数字が甘いことで知られる鑑定会社ですが、MS63のものがスラブを割ってPCGSに送ったらまさかのAU55で戻ってきたのでさすがに納得いかず、さらにスラブを割ってNGCに送り、なんとかMS60で戻ってきたというものがありました。
4.Detailグレード
コインに何かしら欠点がある場合は数字がつかず、その理由と共に「Detail」と記載されます。
その種類は過去の記事「コインの「Details」グレード」に説明があります。
5.グレーディングコイン
今回戻ってきたコインは合計7枚ですが、その中で唯一「Detail」で戻ってきたコインを紹介します。
日本 昭和39年 稲100円 NGC UNC-Detail Cleaned

まぁ、実際このコイン洗ってるんですけどね・・・
特にブラシなんかでゴシゴシとはしていないのですが、しっかり鑑定してきますね笑
その他のコインについては、また紹介します。
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