これまでの記事ではアンティークコインの入手方法などをご紹介しました。しかし、実際に一番悩むところは、一体いくらで購入すればよいのか、というところです。
インターネット上でアンティークコインを販売している国内の業者はかなりの数がありますが、同じコインでも全然金額が違うことがあります。
良心的な価格設定のところもあれば、思わず、えっ!?と目を疑うようなボッタクリ価格で販売している店もあります。このようなボッタクリ店は通常アンティークコイン収集を始めたばかりの初心者ばかりを相手にしています。ある程度知識がついて、自分で相場を調べられるようになった人であれば絶対に購入しませんから。
さて、そんなわけで今回は、アンティークコインの適正な相場を調べる方法をお届けします。
1.国内オークションの落札価格を参考にする
「アンティークコインの入手方法」では、すべてではありませんが、通常はコインショップで購入するよりもオークションで落札した方が安い場合が多いことを説明しました。
そうであれば、オークションに参加すればいいだけの話です。ただ、今すぐ欲しい、自分でオークションで落札するのは面倒、という人はコインショップでご購入ください。
ただし、コインショップにも、良心的なお店とボッタクリなお店があるので、相場くらいは一応調べてから購入することをオススメします。
さて、国内オークションでメジャーなところは、オークションワールド、日本コインオークション、泰星オークション、銀座コインオークションなどですが、過去の落札金額を調べるのは結構面倒だったりします。ネットでそのコインを検索すると結構過去のオークション実績がヒットしたりもしますが、この中でもオークションワールドはコイン収集家にとって、とてもありがたいオークションです。
例えば、皆さんがイギリスのゴチッククラウンの相場を知りたいと思ったとき、以下の手順で調べることができます。オークションワールドのサイト上で、「貨幣博物館」をクリックすると、画面上の「世界貨幣」→「ヨーロッパ貨幣」→「イギリス」を選択していきます。
クリックで進めるのはここまでで、後は検索ボックスの中に「CROWN 1847」とでも入力して「Seach」ボタンをクリックすると、ゴチッククラウンとヤングヘッドクラウンが出てきます。この中からゴチッククラウンを選択して調べていけば、状態ごとの相場が見えてくるはずです。
2.海外オークションの落札価格を参考にする
「海外からアンティークコインを入手する方法」において、海外ではほとんど毎日どこかの国でオークションが開催されていると紹介しましたが、そのすべてを調べるなんてとてもできません。そこで、調べやすく、かつ、おそらく世界中で一番頻繁に開催されているアメリカのヘリテージオークションあたりを調査することが効率的であると思います。
同じようにゴチッククラウンを調べてみます。まずヘリテージオークションのサイトを開き、「SELL」→「Seach Auction Archives」とクリックしたら「Enter Keyword or Lot Number」のボックスに「CROWN 1847」と入力して検索ボタンをクリックすると過去のゴチッククラウンとヤングヘッドクラウンの結果が出てきます。ヘリテージのサイトの場合、さらに「CROWN 1847 GOTHIC」と入力して範囲を絞ることもできます。ただし、この検索結果ではそのコインの画像を見ることはできますが、落札金額までは見ることができません。金額を知るためにはログインをする必要があります。必然的に会員登録が必要だということになります。実際会員登録だけなら無料ですので、相場を知るためにも有効ですし、海外のオークション情報を見て勉強もできますので登録して損はありません。
3.PCGSのPOPで調べる
相場を知りたいコインでPCGSのスラブに入っているものを探します。ある程度有名なコインであれば適当にネットで販売されているものを探せば出てきますし、それでも出てこなかったら、先ほどまでのオークションサイトなどで検索してみれば出てきます。
そのコインのPCGSの証明書番号がわかったらPCGSのサイトで番号を入力し、出てきたらPCGS番号をクリックすれば過去の取引結果が出てきます。
このPCGSの取引結果は主にアメリカのヘリテージやStack’sなどのオークションとebayでの価格が対象になりますが、すべてを網羅しているあけではありません。
試しに、先ほどと同じゴチッククラウンのPCGSスラブに入っているものを探し、証明書番号を照会、PCGS番号をクリックすると、各グレードの数、そして過去の取引金額等が出てきます。
PCGSだけではなくNGCのスラブに入った同コインの取引結果も出てきます。
さらにその一つをクリックすると、いつ開催された何のオークションかもわかります。あまりに古い結果ですと現在の相場と異なっている場合もありますし、一つの結果だけを取りだしてみても、そのときどきのオークションで高値落札のときもありますので、なるべく直近の取引結果で、同じグレードの、できれば3つから5つの取引価格を調べてみれば何となくの相場というものがわかってきます。
4.NGCのオークション統計サイトで調べる
NGCでは過去のオークションの落札価格をまとめたページも持っています。
このNGCのオークション統計ページでは、キーワード検索もできますし、Country(国)、Denomination(単位)、Date(年号)のボックスで選択していっても調べることができます。
例えば、Countryで「Great Britain – 1816-1901」を選択し、続いてDenominationで「CROWN」と選択、Dateで「1847 UN DEC.」を選択すると、先ほどまで他の方法で調べていたゴチッククラウンの過去のオークション取引結果が出てきます。ちなみに「UN DEC.」はアンデシモエッジのことです。アンティークコイン収集を始めてある程度の方であれば有名なゴチッククラウンにはアンデシモエッジとプレーンエッジがあることを知ることになります。どちらも人気で希少なコインであることは間違いないですが、プレーンエッジの方がより希少価値が高く、なんとなく個人的な感覚ですが、アンデシモエッジの63とプレーンエッジの62で同じような取引価格という印象があります。
さて、話は戻り、検索結果によって過去の履歴が出てきますが、直近のものから上に出てきますので、最新の相場も調べやすくなっています。ここでもやはりほとんどの取引事例はヘリテージとStack’sです。
ちなみにここに掲載されている金額は落札金額+オークション手数料の合計金額です。
ヘリテージもStack’sも落札価格の20%がオークション手数料としてかかります。ちなみに100ドル未満のものに対しては一律19ドルのオークション手数料がかかります。
5.(参考)海外オークションで落札した場合の総額
さて、海外オークションの手数料の話が出たので、ついでに海外オークションで落札した場合の経費について説明しておきます。
【例】ヘリテージで1500ドルのコインを落札し、クレジットカードで支払う場合
- ①落札価格1500ドル
- ②オークション手数料300ドル(1500ドルの20%)
- ③送料・保険料約70ドル
- ④クレジットカード手数料約48ドル(①~③の合計の2.5%)
- ①~④合計 1918ドル=210,980円(1ドル=110円として)
- 輸入消費税11,880円(1800ドル×110円×0.6×0.1)
- 合計222,860円
輸入消費税は管理人の経験では先に荷物が手元に届き、輸入消費税の納付用紙が後から送られてくることが多いです。
個人輸入の場合、送料や保険料を除いた金額の60%の金額が課税対象となり、その金額の10%が輸入消費税として課税されます。オークション手数料は商品代金としてみなされるのではないかと思っています。
落札価格1500ドルのものに対し、かなりの経費もかかりますので、それらも考慮し、入札することをオススメします。
ちなみに業者として輸入する場合は、総額に対して10%が課税されるようです。ただし、業者の場合、それを国内で販売し、消費税を納付する際に輸入消費税を差し引くことができるらしいので、業者としては特に損をするということではないようです。
6.最後に
ここ最近、国内のコイン価格の高騰が目立ちます。金や銀などの地金価格の上昇、新型コロナウイルス感染症からくる経済不安や、将来どこかの国であるかもしれないと噂される預金封鎖に備えた現物資産への移行、いろんな状況がコイン価格の高騰に結びついているのだと思います。
この高騰が一時的なものであり、またしばらく時間が経つと落ち着くのか、それともこの高値のまま維持されるのか、今後さらに上がるのか、それは正直誰にもわからないでしょう。
趣味で収集している管理人からすると、あまり高騰すると買えなくなる、という心配が一番です。
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