1.高値落札事件
事件が起きたのは今年の7月12日、日本コインオークション(NCA)での出来事でした。
ここ直近の金や銀の価格高騰、現物資産への移行、コインブーム等により、昨年などよりは明らかに高値で落札されていくコインが多い中、とんでもない価格での落札がありました。
それがダイアナ妃銀貨です。
2.現時点のグレーディング数
ちなみに、現時点(2020.8.27)でのPCGS、NGCの各グレードの数を見てみましょう。(PCGSではDCAMの付かないものもありますが、それらはひとまず対象外としました。)
総数 | 64 | 65 | 66 | 67 | 68 | 69 | 70 | |
PCGS | 175 | 0 | 0 | 8 | 32 | 56 | 74 | 5 |
NCG | 150 | 5 | 7 | 8 | 10 | 27 | 92 | 1 |
PCGS DCAM & NGC ULTRACAMEO
さて、各グレードと数を見てみると、最高グレードの70を狙うならPCGSの方が出やすいのではないかという予想ができます。また、NGCは64から存在していますが、PCGSは66からですので、やはりNGCの方が厳しいのではないかという予想ができます。
ここで平均値を計算してみるとPCGSが68.20に対し、NGCは68.18でした。平均値で見るとほとんど差がありません。そこで再びグラフを見てみると、NGCは69率が圧倒的に高いことがわかります。
つまり、70を狙いたい場合はPCGS、悪くても67以上は欲しいかなという場合もPCGS。しかし、69を狙いたい場合(70は無理でも69になる確率が高い)はNGCにグレーディングを依頼すればいいのではないかという予想ができます。
3.今年に入ってからの落札事例
さて、そんなダイアナ妃のプルーフ銀貨ですが、今年に入ってからとんでもない値動きがありました。冒頭でもお伝えしましたが、ある意味事件です。そこで、今年に入ってからの国内の大手オークションの結果を2つ紹介します。
- イギリス 1999年 5ポンド ダイアナ妃 プルーフ銀貨
- 【2020.1.19 オークションワールド(AW)】
- PCGS PR70DCAM 落札価格82,000円(手数料抜き)
- 【2020.7.12 日本コインオークション(NCA)】
- NGC PF65 ULTRA CAMEO 落札価格94,000円(手数料抜き)
ここでもう一度先ほどの表を見てみてください。今年1月にオークションワールドで落札されたものは70の最高鑑定です。PCGS・NGC合わせても6枚しかありません。
しかし、7月に落札されたものは65です。下から数えた方がいいくらいの低グレードです。この競り方は誰もが異常だと感じていました。
このオークションのあと、ダイアナ妃のプルーフ銀貨の相場は軒並み上がりました。半年前の数倍になっています。私はこの状況が異常に思えて仕方ありません。
そこで一つの仮説を立てました。とあるコイン商がダイアナ妃のプルーフ銀貨の在庫をたくさん抱えている。それほど高値でも売りさばけずに困っていたため、あることを考えた。それがオークションでの前例作りです。
もし、複数アカウントを持っている業者が値を吊り上げたとしたら。実際、その後ヤフオクなどでも相場は上がっているし、多く在庫を抱えていた業者はウハウハ状態でしょうね。
そんなこんなで、流れに乗って(乗せられてしまって?)ダイアナ妃のプルーフ銀貨を改めて購入しました。

実は以前鑑定済の同コインを持っていたのですが、グレードも高くないので売却してしまったのでした。今回改めて裸のコインを購入し、グレーディングに出したいと思います。私はやはり70を狙っていきたいのでPCGSに出すと思います。

見た感じ、キズらしいキズもないので68以上は狙えるかな?でも少し汚れらしきものがあるからクリーンサービス経由でグレーディングに依頼した方がいいかな?
4.スペック
あらためてこのコインの紹介
- 発行国 イギリス
- 発行年 1999年
- 額面 5ポンド
- 表面 エリザベス2世
- 裏面 ダイアナ妃
- 発行枚数 49,545枚
- 重量 28.28g
- 品位 銀92.5%
- 直径 38.61mm
ちなみに見た目が同じで、通常貨500万枚とプルーフ貨10万枚発行の白銅貨もあります。こちらは銀貨に比べるとかなり低額なので間違えないように気を付けてください。
ちなみに発行枚数7500枚の金貨もありますが、こちらもかなりの高騰ぶりです。詳しくはコインカタログでお調べください。
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