引き続き、NGCから戻ってきたグレーディングの結果です。今回はタイトルの通り日本でかなり人気の極楽鳥の大型銀貨です。
1.スペック
- 発行国 パプアニューギニア
- 発行年 1994年
- 額面 5キナ
- 重量 27.28g
- 直径 38.6mm
- 品位 銀90.0%
- 発行枚数 7,500枚
日本国内ではとても人気があり、70は一度オークションでかなりの高額になってしまったこともあって、68や69でもそれに引っ張られて価格帯が上昇しています。
2.極楽鳥コイン
元々ドイツ領ニューギニアの時代に同じ極楽鳥のデザイン貨幣が数種類の額面で製造されましたが、中でも大型の5マルク銀貨、特にプルーフのものはかなりの高値で取引されています。
そんな極楽鳥のコインが1994年にパプアニューギニアで発行されました。50キナ金貨は1,500枚、5キナ銀貨は7,500枚という限定発行に加え、元々のデザインの人気で価格は上昇しています。
しかし、1,500枚という少ない金貨よりも7,500枚発行されている銀貨の方が大型でより極楽鳥の繊細な羽根のデザインが楽しめることから人気があるように感じます。
100年前に発行された元祖極楽鳥も現代版と変わらないほどの繊細なデザインですので、当時の製造技術が高かったことがわかります。
3.グレーディング結果の前に
グレーディング結果の前に、今回のこのコインがどういった経緯でグレーディングに出したかを説明してきます。
実は、このコインはNGCのPF66という単独最下位のスラブ入りコインを銀座のオークションで落札したものでした。もちろんできれば最高の70、それが無理でも69が欲しいところだったのですが、既に結構な高値になってしまっていて、そんなときにオークションに出たコインがその単独最下位の66でした。

このコインを見たときに、銀貨全体にクスミがあるなという印象でした。そして前回の記事でも書いたように、モダンコインではクスミが減点要因になっていると私は考えていました。
そこで、このコインのスラブを割って、NCS(クリーンサービス)経由でグレーディングに出せば、確実にグレードが上がるだろうと考えました。結局はPF66にも関わらず、予想より高値になってしまいましたが、なんとか落札しました。

スラブを割ったあとの写真を撮り忘れていたようで、PF66のときのスラブ入りの写真しかありませんでしたが。全体的に白っぽく見えるのはスラブの汚れもありますが、銀貨自体のクスミです。細かい線はスラブのキズです。裏面の額面「5」の横の縦の線は紛れもなくコインについたキズです。落札前の画像ではこのキズがスラブのキズがコインについたキズかわかりませんでした。やはり下見って大事ですね。
この「5」の横のキズを発見してしまったので、69以上は見込めなくなりました。経験上、モダンコインで一つでも肉眼で確認できるキズがある場合、最高68だと思っています。
しかし、せっかく入手し、モダンコインのクリーンサービスに実験も兼ねて、出してみることにしました。
4.グレーディング結果
まずはクリーンサービス後の写真を見てください。スラブも新品でキズがないので綺麗に見えるというのもありますが、先ほどの66だったときの白っぽいクスミもなくなり、綺麗なプルーフ銀貨になりました。

「5」の横のキズは消えるはずもなく笑
さて、見た感じ、その「5」の横のキズ以外は欠点がなくなったように見えます。そんなグレーディング結果は。

一応私の中での最高予想であるPF68 ULTRA CAMEOで戻ってきました。「5」横のキズさえなければ十分70も狙えたと思います。
既に69あたりでも高値になってしまいましたが、できればもっと安いときにクスミがある69を購入して、クリーンサービス経由でグレーディングに出せば70も夢ではなかったと思います。
5.NGCのグレーディング数
2020.8.31現在 | PF66UC | PF67UC | PF68UC | PF69UC | PF70UC | 合計 |
NGC | 1 | 3 | 3 | 25 | 2 | 34 |
ここまで読んでいただいた方であればおわかりだと思いますが、実際には単独最下位のPF66は既にこの世に存在しません。
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